今年前期の授業料が全額免除になったと東京大学から通知が来た。これは大きい。今年のぼくの住民税も先日通知が来たばかりで、所得割はゼロ、均等割のみ。要するにぼくはすでに無税の人となっている。妻の扶養に入っているくらいだから、父兄の年収が高いことで知られる東大生の中では、非常につましい暮らしをしていることになるのだ。
国費でまるまる勉強をさせてもらえている。ありがたいことだ。
今日で全スポンシーにステップの方法を伝える作業終了。全員に手渡すまで約4年かかった。すべての仲間に回復してほしい。ぼく自身ももちろんだけれど。
英語の模擬試験が駒場で済んだら、その足でそのまま妻と栃木へ。夜着いて食事。アユの塩焼きやフライがおいしい。ここへ来たのは10年ぶりか。茂木のヤナ。日曜は温泉にも入ってから悠々帰宅。ドライブも楽しい。
入学後もTOEFL ITPである。来年はおそらく理学系などの修士課程受験があるに違いない。英語を鈍らせるわけにはいかない。模擬試験といえども手は抜けない。
地質図、褶曲分析、小断層解析、地震エネルギー計算、断面図、柱状図などあらゆるものをデータから作成し、いよいよ論文を作らなくてはならない。見通しは少し立ってきた。まずはプレゼンテーションの締め切りが迫っている。初めてノートパソコンを大学にも持ち込んだ。非常事態だ。ちょっと大げさか。「完璧」からは程遠いというところがポイント。旅行も巡検もレポートも不完全主義である。不完全ながら締め切りは守り、きちんと努力していこう。その積み重ねが自動的に完全なものに近づいていくのである。
これは東大の本郷キャンパスを東大生が外部からのお客様に案内するという企画である。応募して面接を通過し、三回の研修を終えた。今日が三回目であった。
約二時間、複数人のガイドで20名近いお客様を案内する。10代から60代まで、一般の人たちである。赤門、総合図書館、東大病院、安田講堂、三四郎池などを回る。
なかなか内容を覚えられない。しかし先輩ガイドに聞くと、みなさん口をそろえて「経験値」と言う。積み重ねていくしかないのだろう。現に三回やってみて、安田講堂や赤門は案内できるようになってきた。
ツアーのスタート時にガイドがそれぞれ自己紹介をするのだが「理学部地球惑星環境学科3年の森田です。46歳ですが本物の東大生です。東京大学へは2度目の入学です」と言うと、お客様のみなさんは衝撃を受けられるようで、穴のあくほど見つめられる。ちょっと気持ちいいかもしれない。
課題と試験と巡検が終わる八月まではシフトを入れられないかもしれないが、夏休みには積極的にやってみたい。
金曜日、土曜日と課題消化に専念している。どうにもならないと感じていたような難度の高いものも、調べたりトライしているうちに何とかなるものだ。そもそもギブスの自由エネルギーの表を用いて、相転移の状態図を書く…なんて、今までやったこともないし、説明を聞いてもわからなかったし、木・金と資料とにらめっこするしかなかったのに、今朝から二時間くらい取り組んでいたら図が書けてしまった。相変わらずぼくの中では、意味はあんまり分かっていないんだけど、指導してくれる先生があまりにも頭のよい人で、この人についていけたらたぶん安心だろうという気持ちが自分を支えているようだ。すごいんだ、この先生。いままで出会った人たちの中で、五本の指に入るすごい人、である。
信じた瞬間に救われるステップ2,3とか、浄土真宗とか、「信じる」=「救済」は等価であることを感じる。そんな感じの修業の日々を重ねているのだ。
造岩鉱物光学や大気海洋循環学、そしてデータ処理の多すぎる城ケ島の課題があとに控えているのが少しばかりしんどい気がするが、理学部に入ることができて、この厳しさに揉まれて自分の力が向上するのが身に余る幸せである。卒業論文の段階になったら、さらに先鋭化していくことだろう。
実習の課題が次々にたまって山積みになっている。月曜の基礎演習、火曜の生命進化学、水曜の地形地質学、そして城ヶ島の結果のプレゼン。七月第一週に締め切りが設定されているが、果たしてこなせるのだろうか。東大の授業の厳しさを、ちょっとばかしナメていたのかもしれない。気合で乗り切る。