年度が変わって、理学部地球惑星環境学科の四年生となった。三年から編入だとあっという間に折り返し地点である。専門学校や短期大学に入学して二年目を迎える場合もこのような感覚なのかもしれない。ぼくは長いこと専門学校の教員をやってきたが、学生の皆さんの顔をやっと覚えてコミュニケーションが取れるようになってきたと感じ始めた矢先に、卒業してお別れという繰り返しだった。
昨年の新年度スタートは、研究生から学部生に身分が変わっただけでなく、工学部から理学部への大転換もあったし、指導教授や研究室ももちろん変わったし、受ける授業も一変する大きな変化であった。それに比べると今回は学年の数字だけ変わるに過ぎず、変化することのほうが少ない。住むところは変わったが、それは自分の個人的な事情である。変化順応に労力をかけないで、学問の続きに専念できるということだろう。困難を乗り越える力も倍増していると思う。
三年次冬学期の成績がほぼ出揃った。今回はなかなか渋く、優良可不可(ABCD)の「可」を二つ取得してしまった。工学部時代には可がごろごろある暴走学生であったが、今回はすべてにおいてまじめにきちんと努力している毎日なので、この可はちょっと不承諾したい気分ではある。しかし二つの科目の可には理由があるのもわかっている。
ひとつは英語実践の講義である。英語力そのものを評価される授業だったが、そのクラスの学生はTOEICで800点以上のレベルの水準だったのだ。そこに500点台の自分が混じっていればどんなにがんばったところで相対評価はビリッケツである。単語レベルチェックテストも正直に書いて出しちゃったし、やむを得ないところだ。
もうひとつはシステム進化学の試験で「プレート境界の三種類の状態を答えよ」という問いに対し、正断層・逆断層・横ずれ断層という「種類」を答えるべきところ、日本付近のフィリピン海プレートなどのプレートを三つ具体的に上げてしまったのである。試験の採点において、問題の趣旨を取り違えたらたいていアウトである。地学の常識を答えられなかったのだからほんとうなら不可でも甘んじて受け入れなくてはならないところだったが、15回中14回の出席を果たしていたし、高齢学生への温情ということもあって「可」をいただけたのであろう。大変恥ずかしいミスであった。
しかしながら他の科目については、自分の所属する環境学科の科目は駒場・本郷を通じてほとんどが優であったし、専門外の他学部・他学科科目もほぼ良がいただけた。自信のなかった生命科学や大気海洋の分野が優だったのはとてもうれしい。この満足感をバネにして、また今度の4年生科目もしっかり履修していきたいという向学心に燃えているところである。
理学部四年次前期の授業が今日からスタートした。まず午前は座学として、火山・マグマ学、そして兄弟学科である地球惑星物理学科の比較惑星学基礎論を受講した。比較惑星学のほうは本郷の理学部で行われるのだが、柏キャンパスへの同時中継も行われる授業である。先生は教室のわれわれへと、カメラの向こうと同時にカメラ目線を送りながら話をされていた。たぶんスカイプ利用であろう。
午後は生物多様性実習。微生物や脊椎・無脊椎動物を材料に取り上げるようである。今日は井戸水や池の水の採取をして、顕微鏡で微生物を見るところを実習した。分子系統解析のソフトウェアを使ったり、英語の論文のプレゼンも含まれる。
夕方の五時過ぎてからは、必修の地球惑星環境学演習である。クラスを三班に分け、分野ごとの英文レビューを行う。自分たちの班では環境学の英語の教科書を輪読していく予定。きょうはそのガイダンスだけだったが、来週から実際の講読に入る。
すでに宿題の英文が2本渡された。常に何かに追われている学生生活である。
四年の授業が始まってから、英語論文の講読が必修になって、むちゃくちゃ忙しい。というか時間がほとんど足りず。選択授業を削るしか解決方法はないのかも。
4年生に進級して、のっけからフルスピードでの授業日程であった。やっとのことで連休に差し掛かり小休止である。毎週金曜の夜に英語の論文をみんなで読む演習がやはりちょっと重い。それから木曜日の物理化学演習。これは偏微分方程式出現しまくりの例のギブスやらヘルムホルツやらの自由エネルギーパラメータを見ながら物質の反応を多変数で解析するという熱・統計力学の計算演習である。数学とくに微積分がわからなくてはまったく理解できない領域の学問だが、これは先生も丁寧に教えてくれるし、地味に努力していれば確実に解ける演習問題ばかりなので問題ない。やはり学問でも仕事でも消化困難なのは、先生が不親切というかほったらかしで、自分で解き方を考えなさいというタイプのものである。わからないところは聞きなさいと言われるのだが、わからないところが多すぎて途方に暮れるということが多いのである。
他学部聴講なども今回はぐっと抑えたつもりだが、大学院修士課程入試もあるので、外部でTOEFL ITP対策講座も取っていて、結局トータルでは三年のときとそれほど密度は変わりない。とにかく七月末の定期試験まで全力を尽くし、八月の大学院入試を乗り切りたいと思っている。卒業論文の研究までにまだまだ時間があるので、自分がやりたいこと、できることを探すことが先決なのかもしれない。