_ 最近の街歩きブームの中では、谷中と合わせて谷根千と呼ぶのだそうだ。朝通勤のときに北千住から回って千駄木に出て、日本医大の横から根津権現の裏手を登り、地震研究所の下へ出る。テモテ教会を折れると、今年からここの門徒とさせていただいた西教寺に向かう。向かう途中で老舗旅館更新館がある。更新館には18,19歳のとき、東大受験で相部屋に宿泊した。そして通勤の散歩は農学部正門で終わる。坂が多くて狭い道。でも味わいのある下町だ。西教寺にも赤門があるんだよ。東大の赤門と同じく、徳川七代目将軍家斉の娘を嫁にもらった侍が建てたようだ。将軍家の娘をもらう時には朱塗りの門を建てるのが縁起がいいとされたらしい。 きょうは帰り道、言問通りから根津の駅前へ降りて行った。電車には乗らずそのまま谷のどん底をつき、坂を上り始める。谷中と上野桜木の間を抜け、坂を上りきる前に左へ折れると京成本線が地下に潜るトンネルから轟音を立てている。夜の墓地を歩く。霊気が漂っている。東大の動物実験の慰霊塔のようなものが谷中霊園の中にある。抜けて山手線、京浜東北線、高崎線、宇都宮線、常磐線、京成線とたくさんの線路をまたぎ、王子街道へ出る。少し行くと日暮里の駅前である。 1988~1990には本郷の郵便局裏にアパートを借りて住んでいたのだが、今度はまるっきり反対側を通勤で通う道に使っている。