最後に泥酔して記憶を失ったのが16年前の今夜である。一時的に記憶を(部分的にということも含め)失うことを、ブラックアウトという。ひどいブラックアウトは2,3回あったが、電話したり人と話したりしたこと自体も忘れることがたびたびだった。もちろん今はしらふなのでそのようなことはない。忘れてしまいたいことさえ心に引っかかったりする。だから定期的に棚卸をし、物事を整理整頓し続けなくてはならない。人を恨んだり、人を傷つけたりしたときはなおさらである。
ラストの底つきの季節ということは、自分の最も苦手な季節ということに他ならない。弱くなる時期である。自分としてはこの秋風の吹くシーズンは、好きだし得意なつもりでいたが、客観的事実はそうではない。意識していることと現実はたびたび食い違う。恵まれている状況でも不幸だと思ったり、得るべきものが得られていないと不平を言ったりもしばしばである。しかし、気持ち次第で幸福になれるということでもある。
記憶しているさまざまな苦しかった記憶が、今を生きる財産となる。やはり忘れるわけにはいかない。忘れるときはトラブルに向かう前兆である。