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奇跡の今日一日

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2009-06-28(Sun) [長年日記]

_ 六角堂(頂法寺)

京都二日目。京の烏丸の中心地にある六角堂を訪れる。ここは親鸞上人が若い頃、百日連続で通い詰めたというお堂である。聖徳太子のお告げを受けたのは95日目の早朝らしい。救世観音による女犯の夢告と呼ばれているようだが、これがきっかけで親鸞はさらに百日の間、東山の法然上人のもとへ通ったということのようである。

これが親鸞上人29歳のときのことのようだ。自分の29歳は、霊的目覚めと性的目覚めがいっぺんに来たような頃合であった。今と昔では事情もぜんぜん違うのかもしれないが、欲望といかに付き合っていくかは大きな課題だったと思われる。性欲に限らず…だが。だいたい今のこの世の中で、百日も続けて師匠のもとに通う気力など生まれてこないのではないか。行動は三ヶ月で習慣化するというが、八百年も前に親鸞上人はそれを肌で知っていたとしか思えない。六角堂の金平糖を買いながらそんなことを考えていた。

_ 銀閣寺

ついつい必ず行ってしまうお寺、銀閣寺である。残念ながら改装工事中で、上半分はまともなのだが、下半分は見るに耐えないあばら状態であった。このままだと、しんとしたわびさびの心が感じられない。角度を変えたり、裏山を上がったり降りたりして、よいショットを探す。するとちょうどよい風景があった。

初の金閣・銀閣体験が25年前の冬だったのだが、ちょうど雪が積もっていたのである。あれが美しすぎたのだった。それを求めてもふだんはそのレベルに達しない。次に来るときは雪の日に来たい。

_ しまつの街

土曜は市バス一日券でバスに乗りまくったが、二日目は極力電車を使った。京大での授業が終わってから鴨川まで歩いて出る。京阪の出町柳駅。東京の金町浄水場や、京成高砂近くの貨物線が走っているあたりのような雰囲気である。祇園四条まで乗り、阪急へ乗り換え。八坂神社の前の祇園のあたりは、北九州によく似ている。小倉の祇園太鼓や小文字焼きは京都のパクリだからである。

鴨川の岸辺に御茶屋の張り出し座敷が出ている。一杯やってる人たちもいるし、浅草にも似ている。路地の中をのぞくと、京都には珍しく風俗店の看板らしきものも発見(「巨乳専門」と書かれていた)。雄琴まで行かないとそういう店はないものと思っていたが、どうやら京都にも需要があるらしい。

雑多ではあるが、大阪や新宿のような卑猥さがない。街がきれいなのだ。ごみが皆無というほどでもないのだが、やはり「しまつ」がよくされている感じがする。

阪急の河原町から電車に乗り、伊丹空港のある蛍池へ。京の二日間を満喫した。授業は二日間出たが、実はそんなことはどうでもよいことなのだった。


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