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奇跡の今日一日

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1998-02-09(Mon) MIDIに介入! [長年日記]

_  PC男になるずっと以前に「森田くんは音楽やってんでしょ、MIDIやってみようって気はないの?」って聞かれたことがありました。はるか昔の若かったころですね~(といっても6,7年前)。わたしがそのお誘いにどう答えたかというと「あらかじめ演奏される音が決まってるなんて、あんなもん音楽じゃないっすよ!」と暴言を吐きました。いやー、わたしも強気だったものだ^^;アセアセ。街頭でフォークギター一本持ってゲリラライブを展開するのがその当時のわたしの生き方だったもんですから、そんなこと言ってたんでしょうね。打ち込みの音楽というものをなんか、音楽のスピリッツていうか魂を科学技術に売り渡した敗北の姿みたいにとらえていました。当時のわたしは突っ張っていたし、負けたくなかったし、その分かなり無理をしていたんです。それでも4年間ものあいだ毎週毎週渋谷の夕暮れの中歌い続けていたんですから、われながらなんて意地っ張りなヤツ(笑)って思います。反骨と変人演技に明け暮れていたあのわたしが、いまやアニメのMIDIをセコセコ打ち込んでWebで公開して「美紗緒ちゃんラブラブ~」なんてやってるんですから、人間って変わるものです。あのときのわたしも本当のわたし、いまのわたしも本当のわたし。そのときどきで最善手を打ってきたつもりなんですけど、今の自分がいちばんかわいいです。正直に生きるほうが楽だし、なるべく鎧は着たくないものです。なによりも今は仲間もいるし、PCとアニメに囲まれた生活でしあわせですから、元に戻る気はありませんねぇ。

 さて、前置きはいいとして、MIDIです。ハードウェアでMIDIとくれば、まず音源ですね。現在使っている音源は自宅で

Roland SC88 (standard)

です。高いんですよー。サウンドカードとは比にならない音色ROMが乗っています。これ、じつはもらい物です。職場の某Tセンセーからの。T氏からはDynabook V486も中古で売っていただきましたし、わたしのPC人生ハマり道の片棒をかついでくれている人です。なぜまたそんな高価なデバイスを「もらえた」かというと、このSC88、音が出ないのです。音が出ない音源! すげぇパラドックスですねぇ。働かない労働者とか、インクのないプリンタとか、そういうのに匹敵します。以前はブルっていながらも音がどうにか出ていたらしいのですが、先生があるときこの音のブルっているのはハンダが甘いせいだ!と判断して中を開けて勇気をもってハンダ付けしてやったら、ぜんぜん音が出なくなった……というエピソードを聞きました。うーん、すごい話。ふつうだったらもうそれで修理に出すしかないんですが、SC88の場合フロントにヘッドホン端子がありました。強引にここからスピーカーまでミニプラグでつないでゲインをぐりぐり上げてやれば、いちおう音は鳴るということなのです。さすがのRolandです。フェイルセーフが利いています。予備の出力系統があれば修理代もかからないというわけですね。おかげで毎夜わたしの家でDOOMの音楽がスピーカーから何時間も鳴りつづけることができています。エヴァDOOMやせらむんDOOMなら「残酷な……」とか「ムーンライト……」とかもちゃんと演奏されるというわけです。よかったよかったと。

 自分でお金を出して買った音源もあります。職場でMIDIをやるとき用に

YAMAHA MU10

があります。Hello musicシリーズのいちばん安いやつです。でも安いからといって侮るなかれ、MIDIファイルによってはいちばんすばらしい再生をやってくれたりします。今回正式版を公開しましたプリティサミーの「夢みれば夢も夢じゃない」は、このYAMAHAの音源で再生するとグッドです。ドーターオルガンとかを使ってますので、SB16または互換カードのFMシンセも意外といい感じだったのが驚きでした。チープなFM音源にこれほどの力があったのか……というくらいびっくりしました。心の疲れを癒すESS1868-FMシンセサイザー、とか広告の文句にでもなりそうですね。YAMAHAのこのHello musicを買った目的はじつは音源ではなく、シーケンサソフト「YAMAHA XGworks v.1.0」がバンドルされていたからなのでした。単体で買っても二万いくらするソフトなので、それならちょっと色つけてパッケージで買えば音源もついてくる!と判断したのでした。YAMAHAの商法にまんまと乗せられた気もしますが、まぁ気のせいでしょう。

 そのほかにはSoundCardに搭載されているWavetable音源があります。SB64を何度も話題に出しておきながら、なかなか買わないkiyochanです。いまバルク品でちょうど一万円くらいですね。もうちょっと待てば数千円に落ちてくると踏んでいます。ケチですね^^;。しかし、CreativeのSBシリーズは市場にたくさんばらまかれてきたしまもなくPCI版が出荷を始めるので、必ず値下がりします(断言)。だれも相手にしなくなったときにわたしが悠々とISA版を手に入れる……という寸法ですね。ここらへんわたしってやっぱしおかしいかも。

 Wavetable搭載のサウンドカードといえば、最近のSB互換カードはかなりよくなっている気がします。おととしWaveBlaster互換のドーターを買ったのですが、一万五千円もしました。近頃はWavetable載ってても数千円でカードが買えるので、ドーターを追加購入するのはなんか非効率に思えますね。このへんもわたしが値段に過敏になってしまった要素かも知れません。あの悪夢のようなEDGE 3DにもWavetableが載っておりました。けっこういい音だったと記憶していますが、アンプが弱くて情けない音量でした。結局いま使っているサウンドカードは、自宅では素のSB16PnP、職場はESS1868+wavetableです。変わり種はどうしてもOSによってドライバがなかったり不便なので、SB近辺に落ち着きます。ESSはBSDでカーネルソースにSoundBlastarと同じ記述をすると動きましたので、SBとの互換度はかなり高いといえましょう。ひょっとしたらWindowsでもSB16のドライバかまして知らん顔しとけば音が出るかもしれませんね。まだ試してみたことないけど。

 音源の台風の目ともいえるのが最近脚光を浴びてきたソフトウェアシンセサイザです。YAMAHA, Roland, などなど各メーカーからリリースされるようになってきました。電脳組のWingrooveも有名ですね。パソコンを今のように何台も持っていなかったときはこれらの体験版をこまめにダウンロードしては、インストールして楽しんでいました。しかしCPUが486だったりすると音が遅れたり厳しかったです。いまはだれしもPentiumですし(そーでもないかな、怒られそう^^;)、メモリも8MB,12MBでがんばっている人は少なくなってきたし、ソフトシンセは手軽で安いのでかなり有利でしょう。486でWingrooveを使うと途中で「CPUが息切れしています!」ってメッセージが出たりするのが笑えますね。わたし自身MIDIの体験授業をやったりするときは、学生の皆さんにソフトウェアシンセの体験版をインストールさせて聞いてもらったりしているわけですが、Pentium90くらいでもかなり厳しい状態です。季節ものなのでハード音源までは要求しませんが、せめてもうちょっと予算出してもらってCPU強化を図りたいものです。

 まとめに入りますが、もともとMIDIに対するわたしのイメージは、冒頭にも書いたように「決まった音を決まったタイミングで出す」ものでしかなかったし、「お金かかりそう」「なんや難しそう」といった避ける理由しか見つかりませんでした。今こうしてときどき曲を打ち込んでWebで公開するようになって思うのは、「予定通りちゃんと音が出る!」し、「Wavetableは安くなった・ソフトシンセは体験版ならタダ(YAMAHAなんて買ってもないのにユーザー登録させてくれる、これはすごい)」だし、楽譜にしたがって音符を入れていくというシンプルなシステムですよね。たしかにむずかしくはないけど、根気だけは要りますね~。そのかわり出来上がったときの充実感は、ほかではなかなか体験できない性質のものではないでしようか。一年ちょっとまえにちびムーンの「夢をいじめないで」を根つめて打ち込みましたが、曲を再生するたびにあのPCとともに・ちびムーンとともにあった充実感……がよみがえってきます。宮原くんが研究室にたびたびきていた会話のある楽しい生活……とか(いきなりローカル入りました、エヴァ見始めたよ、宮原くん^^;)。音楽と思い出は切っても切れないですね。これは渋谷で一人歌うより、はるかにいいものです。地味ではありますがこれからも思い出したようにMIDIの打ち込みをやってみたいと思います。


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