ヱヴァンゲリヲン新劇場版の「破」を見に行った。夏休みで混み始める前のギリギリのラインだ。平日昼間ということもあり、劇場は空いてて快適だった。
新劇場版の一作目の「序」は、ほとんどテレビ版と変わらず、古くエヴァを見てきたファンの郷愁をそそる復習映画のような感じであった。ただ宇多田ヒカルの主題歌もいい感じだったし、背景ロケも取り入れているようで画像がきれいだなあという印象だった。そうして可もなく不可もなく「序」は終わった。印象としては、ファンの点検作業というところだっただろうか。
ところが今回の「破」は違った。アレンジというどころではない。パロディーに近い気もするが、オリジナリティーも溢れている。というか、別物とも思える。まったく違ったタイプの使徒。新しいチルドレン。アスカの苗字が「式波」?。なんかそういう次元ではない。そして巧妙な演出だなあと思うのは、セリフやモチーフにオリジナルがホログラフのように織り込まれているということだ。綾波の自爆やシンジの逃避はもともとオリジナルでも大きなテーマだったが、本作品でも新しい視点から取り入れられている。しかもそれが信じられないくらいフィットしているのだ。
使徒が綾波を食ってしまったあと、使徒の下半身があの感じに変化するあたりから鳥肌が立ち始めた。ダミープラグでの暴走。アスカは死んでしまったのか。謎が多い。難解でもあった。オリジナルを何度も何度も見ていたぼくでもこんな感じなので、初めてこれ見たらどんな印象なんだろうか。トータルで言えばあらすじの複雑化はそれほどないので、新規観客はそれなりに楽しめるのかもしれない。
綾波レイやアスカにも、人格の微妙な変化が見て取れる。他のキャラクターもオリジナル+αといった感じだろうか。新キャラのメガネっ娘は次回あたりブレイクかな。ちなみに次回は「急」ではなく「Q」らしい。村上春樹の小説タイトルにも使われてたQ。
「今日の日はさようなら」とか「翼をください」といったノスタルジックな曲が見せ場で挿入されているのだが、タイミングが絶妙だった。うかつにも涙出そうだったよ。
今回のこの作品は構成力がすばらしいと思った。オリジナルを実に上手く利用している。一見の価値有り。