角田光代の受賞作品である。遅ればせながら読んでみた。角田さんの作品は結構読んでいるのだが(15作くらいは読んだか…)、有名作品なので後回しにしていた。
二つの物語が同時進行して行って、最後に調和。村上春樹の「世界の終わり……」もたしかそんな風だったような。角田さんの作品は、いつも切ない。涙がこみ上げてくる場面がよくある。悲しい場面ではないのに、だ。不思議な切なさによく襲われる。切なさの好きな人にはお勧めである。
あと、男女間の怒り。主婦の怒りとか、主婦でない人の怒りとか。実に頭にくる場面を描写してくれる。男のまぬけぶりも書かせると天下一品だと思う。男の無神経さや配慮のなさ。身に覚えがあるはずだよ、みなさんも。
そういう感じでいつもこう読後感が悪いのだが、角田作品はまた麻薬のようにぼくの襟首を掴み、読ませようとする。それにどうもあらがえない。図書館で「角田光代」の文字を見て、まだ読んでない作品だと必ず借りてきてしまう、そういう力があるのだった。
今はどうだか知らないけれど、
荻窪駅の南口にカメラのキヨシと岩森書店が入っているビルがあって、
そこの上に角田光代の仕事場があったらしい。
昔、NHKのインタビュー番組で見ました。
今度見上げてみて下さい。