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1998-05-13(Wed) IOI-9100UWのPC9821Xa7への組み込み [長年日記]

_  日付の順から言えば今回はソフトウェアのほうのコーナーを先に更新するつもりでしたが、IOIのSCSIアダプタの組み込みで大変苦労する事件がありましたので、急遽その一部始終を書いてみることにしました。ソフトウェアのほうで前回予告していました「X window system 後編」はもう少しあとになります。ご了承ください。下手したら夏休み前後になってしまうかも^^;。

 ずっと使っていなかったNEC-PC9821Xa7C4を引っ張り出したのは、セカンドの自作AT互換機を某講師に中古で買い取っていただいたからなのでした。このコーナーの過去ログを読んでみたかたや私と直接会ったことのある人は、よほどPCが家にたくさんあるかのように誤解している人もいるようですが、常に使える状態にしておけるマシンというのは2台が限界です。職場でも、メインで使っているK5-200(ほんとは166PRだが猛クロックアップ)と486DynaBookの2台です。家でもほとんどがメインマシンで事足りています。二台目は実験用になることが多いです。または特定の機能だけ使い分けて、データをLANでやり取りする……というあたりに落ち着きます。3台あると三台目は埃をかぶるということになりますね。したがって今回話題にするPC9821は、買った当初は98専用ゲームで遊んだりはしましたが、その後ずっと埃かぶり状態だったのでした。

 セカンドのATを宅配便で送り出してから、このNECマシンを引っ張り出すことを思い付きました。電源オン。正常に起動しました。最後に手を加えたのはいつだったかわかりませんが、たしか付け替えたCPU、AMD K5-90PRがあまりに不安定だったので(というよりベースを60MHzに変更していたせいでメモリ周りが不安定になっていたので)もとから装備されていたインテル純正Pentium75MHzに戻したっきりだったと思います。パリのないサードパーティのL2Cacheも実装した状態でした。

 わたしがまず考えたのはMIDIで使うということでした。サウンドブラスタ互換のJoyStick・MIDIポートというのがNECマシンの場合はありませんので、ATでもやったことのないシリアル-SC88の接続をやってみました。Xa7以降の98は115200bps対応のシリアルポートが使えて、com1・com2がAT互換機と同じように利用できます。15pin-9pinのアダプタをかませるとSC55のMIDIデータとしてしか音源に送られなかったりというトラブルはありましたが、Rolandの最新ドライバを組み込むことで解決し、結果的にはMIDIマシンとして使用することができるようになったのです。

 しかしさすがにPentium75マシンでは、Windowsの重いアプリを動かすには厳しいのを体感してしまいます。なんとかパワーアップしたいところですが、NECのマシンにCバス(NECの標準拡張スロット)ボードなどを追加して投資しても、あとあとATでは使えないのでそれきりになってしまいます。投資が無駄にならないものといえばPCIバスのボードやSIMM・外付け機器類くらいです。そこで思いついたのは起動時間・検索時間・ファイルのコピーや読み取りの際にボトルネックとなる、ハードディスクの換装でした。この9821Xa7C4に標準装備されているのは425MBのIDE HDDです。起動して中身を見てみたらほとんどもう空きはありません。たぶんFAST-ATA2の規格でしょうから、データ転送速度は16MB/sでしょう。ultra SCSIなら20MB/s、ultra wide SCSIなら40MB/sにまで改善できます。たとえCPUがPentium75でも、これならかなり快適になるのでは……と思ったのです。ドライブはATでも当然使えますし、PCIのボードを買えばこちらもATに流用することが可能です。ただSCSIを使うためのBIOSやドライバなどのソフトウェアがPC98対応のものでなくてはいけないので、高い買い物・つまりadaptecのPCIボードの導入などを視野に入れなくてはならないのが難点だなぁ……と思っていました。

 PCIのSCSIはほかにも何社かありますが、わたしの持っているTekramのDC390(チップはAMDのを使っているようです)はNECマシンでは動かなかったという経験があります。BIOSをジャンパで切れば動く可能性もありますが、どっちみちSCSI-2ボードなのでデータの転送速度は10MB/sまでです。fast-ATAのIDEより遅くなってしまいます。残るSCSIボードメーカーで考えられるのはSymbiosとかAsusとかがあります。いずれもAT互換機市場の製品なのでPC98シリーズでの対応は望めません(ひょっとしたら動くのかもしれないが……)。うーん、あとは最近出てきた怪しげなabaptekブランドのIOI社かぁ、明らかにadaptecと間違えて買う人を期待するようなブランド名(最近はこの名前を使ってないようで、IOIに統一している模様)だし、でも安くて動くならいいんだけど、とかいろんなことを考えながら、とりあえずWebで調べてみることにしました。

 IOIの製品は秋葉原の信頼できるショップなどでも置いてあり、うちの自作AT互換機をAMD-K6-233MHzに換装したときも候補として調べた経緯があります。Ultra wide SCSIのボードは3バージョンほどあったと思います。これまで使ってきたSCSI-2規格のパーツも使えるマルチチャンネルタイプで値段もそこそこというIOI-9100UWがベストな選択でしたが、K6換装のときは結局コストの面からIDEのDMA33ドライブにしたので、ボードの購入は見送ったのでした。

 型番までわかっていたので、Webでの検索にはすぐに引っかかりました。http://www.ioiscsi.com/にドライバダウンロードや製品紹介のホームページがあります。その9100UWを中心につらつら眺めていたところ、ありました!「PC9800 support」の文字が。実売が一万円程度ですので、動作保証のあるadaptec純正の同等品(AHA-2940UWなど)に比べても1/2~1/3程度の価格です。これで98のPCIバスで動けば言うことないですね。というわけで早速秋葉原に出かけたときに買いました。どのショップでも値段は大差なかったのでTWO-TOPで購入しました。たまには混んでいる店で買ってみたいという気持ちも働いたと思います。フリップフラップのほうがちょっとだけ安かったみたいです。でもまぁ数百円の差だったので問題なし、と。

 家に帰って箱を開けてみるとAT用のドライバディスク2枚と、PC98用のドライバディスク1枚が入っています。Webで宣伝してある通りで一安心。英語のマニュアルにはPC98でのことは触れられていないようです。しかし、95やNTでのドライバ組み込み操作はマシンのアーキテクチャには関係ありませんので、とくに気にもしなかったのです。

 ということでPC9821Xa7のケースを開け、二つ並んでいる白いPCIバスの一方にこのボードを挿入しました。とりあえずSCSI機器はなにも接続せずに電源オン。順調にPlugアンドplayで認識されるのを期待しつつ……。

 しかし、98のメモリチェック「640KB + xxx00KB」の表示がいつまでたっても消えません。進まないのです。接触が甘かったかなーと思って電源オフ。一度ボードを抜いて再び差し、ほかの周辺機器の接触箇所も念入りにチェックしました。そして電源を再びオン。メモリチェックが始まりました。しかし……やはり結果は同じ。なんかSCSI機器をつないでないとだめなのかも(ターミネータが効いていない?)と思い、MOドライブをつないでから電源を入れることもやってみました。それでもやはり結果は同じ。起動プロセスが始まらないのです。不良品だったかいな、という疑念も持ちつつ電源を落としました。ボードを抜いて今度はAT互換機のPCIバスに差してみました。そして電源オン。こちらはメモリチェックの後Energy Starのロゴが消え、起動プロセスが正常に始まりました。SCSI BIOSが読み込まれてBIOS revisionなどが表示されていきます。あっ、そうか、BIOSだ!と気がつきました。AT互換機用のBIOS-フラッシュROMが載っているので、これをPC98用のBIOSに書き換えないとだめなんだな、と理解できました。そういう大事なことはマニュアルなりパッケージなりに大書しておいてほしいもんだよ……と思いますが、どこにもそんなことは書いてありません。ま、安いボードだしそれくらいしょうがないかということで、自分を納得させました。落とし前はちゃんとつけないと収まらないので、慣れない英語を駆使して先述のWebで公開されているIOIのサポートメールアドレスへ「あんたのとこのSCSIボードは、そのまま差したんじゃNECのPC98が立ち上がらんぞ。どうしてくれる!」という内容のメールを送ってやりました。即日お詫びのメールが返信されてきました。「数あるSCSIメーカーの中から、我が社のボードを選んでいただきましてありがとうございます。……中略……。解決を手助けしたいので知らせていただきたいことがあります。そのボードのBIOSのリビジョンはいくつですか?」。ん? だからPC98は立ち上がらないのだからリビジョン番号は調べようがないわけなんだけど……。ATで調べればAT版のBIOSリビジョンは見ることができるけど、それはたまたまわたしがAT互換機を持っていたからだし、98しか持ってないユーザーだったら調べられないわけですよ。ボードに印刷されているわけでもないし、マニュアルには98に関する記述はないし……。わたしの英語がちゃんと伝わらなかったのかもしれません。メールのやり取りはそこでやめました。

 とにかくSCSIボードをPC98で使えるようにしなくてはなりません。BIOS書き換えユーティリティがついているはずです。NEC版の付属フロッピーの中を探してみたら、ありました。Readme.txtにもその旨が書いてあります。早速AT互換機をシンプルな英語DOSモードで起動し、コマンドラインからROMデータをパラメータにして実行しました。すると、フリーズするのです。日本用だから日本語モードでやんなくちゃだめなのかとも思い、やってみましたがやはりフリーズ。WindowsのDOS窓でももちろんフリーズ。ううっ、どうせえっちゅうんじゃい!!。なぜだ、なぜなんだ、と考えました。そうか、このBIOS書き換えユーティリティはPC98シリーズのDOSプログラムなんだ、と気がつきました。そういう大事なことはマニュアルなりパッケージなりに大書して……とまた怒りが湧きそうでしたがまた繰り返しになるので、気持ちを平静に戻して98で書き換えに臨みます。しかし、わたしはジレンマにすぐ気がつきました。ボードを差すとPC98は起動しないのです。フロッピーからも立ち上がりません。ボードに載っているAT用のBIOSが書き換わらない限り、PC98はこのボードを差したままでは起動しないのです!

 BIOSチップをじーっと見ました。こ、これさえ外せれば……みたいな。TekramやadaptecのSCSIボードみたいに、せめてボード上にBIOSのon/offジャンパがあればいいのにと考えましたが、あるのはターミネータの設定ジャンパのみです。このBIOSチップって取れないのかなぁ、って爪の先でくりくりいじっていたら「かぴょん」と取れちゃったのです^^;。ひょえーーー(笑)。しかもチップの足がひん曲がってしまった。折れなかっただけ幸いですね。落ち着いてチップの足を一本一本真っ直ぐの状態に戻し(かなり冷や汗をかきました。あれは心臓に悪いっす)、装着できる状態に復旧しました。ほっ。

 ここまできて思いついた新しい作戦は次の通りです。BIOSのない状態でSCSIボードを差しておいて、PC98を起動する→起動したら電源の入ったままBIOSチップを取りつける→BIOS書き換えユーティリティを走らせてPC98対応のROMを書き込む→無事、起動、というシナリオです。どのプロセスもうまくいくという保証はどこにもありませんが、やってみることにしました。

 BIOSを抜いた状態のままSCSIボードを差し、PC98の電源をオン。メモリチェック終了後、起動プロセスに移行しました。第一関門通過です。Windowsを起動させてしまっては面倒なのでF8キーで起動セレクト。コマンドプロンプトで無事起動しました。さてBIOSの装着です。これが一番緊張した一瞬です。急に回路が閉じるわけですから過電流が走る理屈になります。燃えても知らんぞ、それっ、という感じでBIOSチップを差しました。熱も火花も煙も出ませんでした。しーんとしています。電源ファンのぶーんという音だけが静かな部屋の中に響いています。キーボードからキーを叩いてみるとフリーズもしていないようで、正常に文字が表示されます。どうやらうまくいったようです。次にBIOS書き換えユーティリティを動かします。フロッピーの中の所定のディレクトリに移り、ROMデータを書き込もうとしますが、ん、止まってしまいます。フリーズはしてないようでCtrl+Cで戻ってこれるので一安心。再び書き換えをやってみました。またも止まります。しかし、今度は「same version……」と出てますので、書き換えの痕跡は残っているようです。やむなくまたCtrl+CでDOSに戻り、再度強行しました。三回目にして「……successfully」と出て、自動でDOSに戻りました。フロッピーを抜いて再起動。メモリのチェックの後、SCSI BIOSのリビジョン表示が出ました。大成功!! 順調にWindowsが起動し、プラグアンドプレイでSCSIボードが認識され、ドライバの組み込みも正常にできました。かくしてIOI-9100UWが使えるようになったというわけです。だーっ、大変だったぞー(笑)。

 なにかしらほかにも使える方法があるのかもしれませんが、わたしには思いつきません。こんなのPC9800対応などと宣伝して売っているのはまずいんじゃないっすか。ねぇIOIさん。ふつうのPC98のみのユーザーだったらそもそもPCさえ立ち上がらないわけだし、打つ手はないですよねぇ。これは今思いついたんですが、ATでAT版の書き換えユーティリティ走らせて、データROMのパラメータだけ98版使う? ひょっとしたらチップ引っぺがさなくてもうまく行くかもしれませんね。ただしAT互換機を持っていないユーザーだと無理です。別々のフロッピーに入っているわけだし、HDDのテンポラリか何かにプログラムとROMデータコピーして英語DOSで立ち上げて……って考えたら結構面倒です。

 わたしにもう少し英語力があったら、このページの内容をそっくりそのままIOI社に読ませたいくらいです。そもそも英語がちゃんと書けたらその前にメールのやり取りで解決方法に出会っていたかもしれませんね^^;。あー、もっと学生のときに英語勉強しとくんだった。って、よくある話ですね。今となってはそんなエナジーも暇もありませんから。ま、とにかくSCSIボード動くようになってよかったっす。でもultra wide SCSIのハードディスク買うお金がないので、まだ古いSCSI-2の遅いHDDつないで使っています。IDEより遅いぞー(笑)。

 今回の教訓としては、いつもと同じですね。「NECマシンは何かとめんどくさい」と^^;。ATならボード差すだけでプラグアンドプレイだったのにねー。改造した今回のボードをまたAT仕様に戻すとしたら、また同じプロセスをAT互換機でやらなくちゃいけないわけです。今度こそBIOSチップの足が抜けそう(笑)。当分PC98で使います。NECは毎回苦労するなぁ。


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